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分のところがラッシュ時には40分から1時間要するという状態になっていたそうですが、これも何とかしようということで、山を切り開いて片側2車線の4車線道路を整備し、その供用開始と同時に片側2車線の内の1車線の左側が7時から5時までバス優先道路にしたということでスピードアップされ、定時性が確保され、さらに急行便等も導入し、1時間余りかかるところも20分のダイヤ通り(ローカル便は23分)にきちんと走行できるようになったそうです。そのための輸送力増強については、バスの方も効率アップにより回転がよくなり、32両使っていたのを34両と僅か2両増やしただけで、大幅な増強ができたということです。それから4か月後・利用者が倍増したということです。川西市当局、川西警察署、地元事業者の阪急バス・地元利用者の官民総ぐるみでバスを蘇らせた好事例だと思います。
したがって、事業者だけでは勿論できませんが、行政だけでも難しい、そういう三位一体のコンセンサスが大事ではないかと思います。私は日本でもこちらからトライしていく必要があると思います。日本はなかなか難しいと言っていては一向に前の壁を破る訳にはいかないのではないかと痛感しています。

 

●藤田コーディネーター

 

伺っておりますと、先程の公共的なものに対する関心の寄せ方が違うのではないかといった荒谷さんのご指摘もありました。そして今の國友さんの話を伺っておりますと、行政や住民が総ぐるみで問題に対応しているという実例もありました。となると市民、行政、事業者それぞれに従来の頭を切り換える必要があるように思われます。住民利用者の頭の切り換え方、意識の変革、福井さんは、どんな切り換え方が必要かと思いますか。

 

●福井先生

 

先程、日本は、環境面への後進国だと申しましたが、もう一つ都市施策において後進になっているところがあります。成長管理という考え方だと思いますが、戦後大きいことはよいことだで、成長・拡大・人口増そればかりを追求してきたのが、日本の多くの都市でしたが、そろそろ反省時期がきており、成熟期にも入りました。もう人口増ではないであろう。都心に何がきてもよいというシステムももうないであろう。つまり、どれだけの車を入れ、どれだけの公共交通を優先させるのかという量だとか、タイムシェアリングの時代に移ってきてもよい頃だと思います。
通勤通学というのは、その都市を構成している人口の大多数を占める訳ですので、優先順位としては非常に高くなります。同じ道路を何が通るのかという、おやつが一つしかないものを食いしん坊の子が全部食べてしまったら、あとの子は食べられない訳ですから、それをある時間帯はこの人に、ある時間帯はこの人にという様に、例えばバスその他の公共交通が1位にきて、時間帯によっては物流をメインで行ってもよいときがくると思います。マイカーというのは平均的によいが、特定の混む時間帯は遠慮してくださいというように社会がしていくべきでないでしょうか。それをまず行政なり社会全体に成長管理コントロールというような前提条件が組まれていないと、その話を急に持ち込んでも、もしも先程の住民投票でぎりぎり否決になっていたらどうするのでしょう。本当にぎりぎりだなと思いました。

 

 

 

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